三三国志 英雄図鑑
第1部 乱世の幕開け・190年

第3章反董卓連合と虎牢関の戦い

曹操の檄に応じて諸侯が集結。関羽が華雄を斬り、三兄弟が呂布と戦う。

舞台:汜水関・虎牢関・洛陽

西暦一九〇年、曹操は陳留で諸侯に檄文を飛ばした。「董卓は天子を脅かし、宮中を汚す国賊なり。義兵を挙げて共に討たん」。これに応じて、十七鎮の諸侯が集まった。渤海の袁紹、その従弟で南陽の袁術、長沙の孫堅、北平の公孫瓚。公孫瓚のもとには、まだ平原の小役人に過ぎない劉備と、関羽・張飛の三兄弟が従っていた。

盟主には家柄で袁紹が選ばれ、兵糧は袁術が担った。先鋒に立ったのは孫堅である。「江東の虎」と呼ばれるこの男は汜水関へ攻め寄せたが、袁術が妬みから兵糧を止めたため敗北を喫した。関を守る董卓の将・華雄は勢いに乗り、連合軍の将を次々と討ち取る。

本陣は青ざめた。誰も華雄と戦おうとしない。そのとき、末席から声がした。「それがし、華雄の首を取ってまいろう」。関羽である。袁術が「一介の馬弓手が何を言う」と怒ったが、曹操が「見た目が貧しくとも武勇はあろう」とかばい、熱い酒を注いで勧めた。関羽は言った。「酒はしばし置かれよ。帰って飲む」。

関羽が馬を駆って出て、太鼓が鳴り響いた。諸侯が固唾を呑んでいると、一騎が戻り、華雄の首が陣の前にどさりと投げ出された。関羽が杯を取ると、酒はまだ温かかったという。張飛が「このまま関を破って董卓を捕らえようぞ」と叫んだが、袁術は面白くない。

虎牢関の前には、董卓の養子・呂布が現れた。赤兎馬にまたがり、方天画戟を振るう姿は鬼神そのもの。呂布は連合軍の猛将をたちまち斬り伏せ、誰も止められない。

そこへ飛び出したのが張飛である。「三つの姓を持つ奴隷め、燕人張飛を知らぬか」。蛇矛と画戟が五十合、百合と打ち合い、決着がつかない。見かねた関羽が青龍刀を振るって加わり、さらに劉備が双剣を抜いて飛び込んだ。三兄弟は走馬灯のように呂布の周りを回りながら戦う。さすがの呂布も支えきれず、関内へ逃げ込んだ。「三英、呂布と戦う」と讃えられる名場面である。

董卓は恐れた。そして軍師の李儒の進言を容れ、都を洛陽から長安へ移す暴挙に出る。洛陽の街は焼き払われ、民は鞭で追い立てられた。曹操は「いまこそ追撃すべし」と叫んだが、袁紹ら諸侯は動かない。曹操は単独で追い、滎陽で手痛い敗北を喫した。

焼け落ちた洛陽へ最初に入ったのは孫堅である。宮殿の井戸で、孫堅は光る物を見つけた。伝国の玉璽である。「これは天の啓示」。孫堅は玉璽を懐に、江東へ帰ることを決めた。袁紹がそれを知って詰め寄り、連合は一気に内輪もめへ傾く。曹操は嘆いた。「大義を忘れた諸侯に、もはや望みはない」。

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